Future 01
カーボンニュートラル
再エネを届ける。企業へ、
地域へ、子どもたちへ。
鈴木 達也
株式会社新昭和 取締役 特建事業本部長。太陽光発電事業の立ち上げを推進。1983年新卒入社。
小林 力
株式会社新昭和 特建事業本部 特建技術部 環境技術課長。太陽光発電設備の設計、調達を担当。2012年中途入社。
明石 雄豪
株式会社新昭和 特建事業本部 特建営業部 特建営業課。営業として主にインテグレータ事業を担当。2012年中途入社。
RE100の達成を、2040年までに。
2050年までにカーボンニュートラルを達成する――。多くの先進国に足並みをそろえる形で打ち出された日本政府の宣言だが、そのハードルは非常に高いと目されている。実現に向けて鍵となるのが、再生可能エネルギーのさらなる普及である。千葉県初のメガソーラーを立ち上げた鈴木は言う。
「新昭和には本社や工場のほか、各地域の営業所があります。こうした自社の建物で消費している電気を、徐々に太陽光発電へ切り替えていく予定です。これは、RE100という取り組みの一環です」
RE100とは「Renewable Energy 100%」の略称で、事業活動において消費するエネルギーの100%を、再生可能エネルギーでまかなうことだ。国内外において、2050年までの達成を目指す企業が多数を占める中、新昭和はより難易度の高い2040年までの達成を目標に掲げている。
「もちろん、再生可能エネルギーへ切り替えるためには設備投資が必要です。その原資になるのが、メガソーラーによる売電収入。FIT制度で向こう10年以上は安定的な収益が期待できます」
とはいえ、FIT制度にもやがて終わりが来る。その後はどんな戦略を推進するのだろうか。営業の明石が挙げたのは、2022年4月からスタートする新制度FIP(Feed-in Premium)だ。再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進する制度だ。
「市場価格が15円なら、例えば5円の補助額が上乗せされ、20円で売電できるようになります。これにより、再び太陽光発電に勢いがつくことが予想されるわけです。営業としては、国の動向にアンテナを張りつつ提案していくつもりです」
もうひとつ、今後の戦略として鈴木が挙げたのは、PPAという事業モデルだ。PPAとは「Power Purchase Agreement」の略で、「第三者所有モデル」「電力販売契約モデル」とも呼ばれる。FITやFIPが太陽光発電事業者と電力会社との間の契約であるのに対して、PPAは太陽光発電事業者と電力使用者との間の契約となる。
「屋根や土地を貸したい事業者や、再生可能エネルギーを導入したい事業者が今、どんどん増えています。新昭和がPPA事業を展開することで、両社の間を取りまとめていく構想です。RE100を達成しようと考えている企業にとっては、長期かつ安定的に再生可能エネルギーが入手できるというメリットがあります」
地域を支える
「スクール・カーボンニュートラル」
再生可能エネルギーの導入については、学校や自治体からのニーズも増えている。現在、新昭和では「スクール・カーボンニュートラル」という取り組みを進めている。鈴木は言う。
「2022年春までに、千葉県の学校19校を対象として、太陽光発電システムを無償設置する予定です。各校に20キロワットずつ、総額2億円相当を寄贈します。モニターで発電量を確認すれば、今どれだけ地球に貢献できているかがひと目でわかる。災害時の非常用電源となるだけでなく、子どもたちにとって再生可能エネルギーの教材にもなるんです。こうした取り組みを通じて、日頃お世話になっている地域に恩返しができたらと考えています」
技術面からこの施策をサポートする小林も、思いはいっしょだ。
「今回寄贈するのは、2019年の台風で停電被害が長期化したエリアが中心です。ただ、建物自体が老朽化しているので、屋根の上に載せるだけでもひと苦労。簡単なプロジェクトではありませんが、学校や教育委員会と連携しながら、力になっていけたらと考えています」
太陽光発電には大きな可能性があると鈴木は言う。
「例えば近い将来、水素社会が到来すると言われています。そのとき、再エネと新エネの掛け合わせという新たなニーズが生まれるでしょう。太陽光発電を電気分解に利用すれば、完全なクリーンエネルギーが実現します。そんな未来も視野に入れながら、我々に何ができるかを常に考えています。企業や地域の皆さんと手を取り合い、脱炭素社会を実現するお手伝いをしていきたいですね」